ミニベロ迷走記

折りたたみ自転車に乗って、輪行やポタリング。さて、どこに向かっているのやら(笑)

奥房総ダートぶらり旅

 今日は、Speed Falcoで千葉県君津市の林道・古道・廃道を散策しました。別に私は、未舗装や古い道路が専門という訳ではないのですが、最近たまたま、そういう旅が続いています(笑) なお、今回の旅の主な目的は、先日見に行った坂畑隧道群の先がどうなっているのかを確認することです。地理院地図を見ると、坂畑や怒田あたりに多くの道が描かれています。ただ、江戸時代や明治時代の古道の多くは、現在の地図には記載されていません。そこで事前の机上調査を念入りに行い、複数の地図を比較検討し、オフロードバイク車載動画なども参照しました。
 今回のスタート地点は、JR久留里線の終点である上総亀山駅久留里線に初めて乗ったのですが、ICカードを使えないのですね。しかも、上総亀山駅無人駅。。。途中で気がついて、車内を見回っていた乗務員に清算してもらいましたが、あやうし*1

 このあたりは、「千葉県最後の秘境 奥房総」だそうです。今日は、その奥房総の、さらに奥を目指します。

 坂畑隧道群の入口は上総亀山駅の近くですが、、、前回と同じルートを走るのも芸がないので、今回は少し遠回りをして、林道坂畑線で大福山に登ります。坂畑線は完全舗装路で、亀山湖と大福山をつなぐ便利な道。

 林道大福山線との分岐近くまで登ったら、以下の写真の地点から支線(?)に入ります。一部で「坂畑林道支線」などと呼ばれていますが、正式名称は不明です。

 ここからは、尾根伝いの未舗装路になります。砂利道ではなく土の道なので、グラベル(gravel)というより、ダート(dart)と呼ぶべきでしょうか。2日前に雨が降ったので路面状態が心配でしたが、この区間の泥濘は殆どなし。ただ、路面が踏み固められておらず、土がフカフカです。走れないことはないですが、少しコツが必要かもしれません。

 以下は、このコースの名物(?)である馬の背状の一本道*2。慎重に通れば特に問題ないですし、落ちても死にはしないと思いますが、自転車を担いで登ってくるのは大変そうですね。。。(苦笑)

 実際は、一本道よりも以下のような場所が通りにくいです。念のため、ここは自転車を降りて押します。

 ダイナミックな倒木。

 多少押したり担いだりしましたが、大きな難所もなく、前回引き返した分岐に到着。前回は写真の手前側から来ましたが、今回は奥からアクセスしました。そして、左に見える小水第二隧道に入ります。「この先 通行止」とありますが、通行止のルートではなく、別のルートを抜ける予定です。


 小水第二隧道の先には、小水第一隧道。

 小水第一隧道の先で分岐。右は素掘りの廃隧道が連続している道ですが、現在通行止(ゲートが開いていますが) 左は、少し先の民家の脇から古道(?)が続いていて、いくつかの方向に抜けられるはず。「この先通り抜けできません」というのは自動車の話であって、徒歩なら問題ありません。オートバイや自転車で通り抜けられるかどうかは、個人差あり(苦笑) 今回は左に行くのですが、右のゲートが開いているので、(自転車を置いて)徒歩で覗いてみました。ただ、少し先で道が分かりにくくなっていたので、そこでUターン*3

 そういえば、先ほどから発砲音が定期的に聴こえます。まあ、流れ弾が当たる距離ではありませんが、若干ドキドキしますね(笑)

 序盤は、それなりにマトモな(?)道。


 この分岐は、右に進みます。左に行くと、南西(上総亀山駅の少し北にある柳城地区)に下っていくようです*4

 このあたりから、路面が土ではなく岩盤になります。路面が濡れているのもありますが、タイヤが少し滑ります。

 また、道の状態が一気に悪くなるので、自転車を担ぐことが増えます。自転車であれば(個人的には)問題ないと思いますが、オードバイの人は苦労しそうです。ただ、オートバイのタイヤ跡が残っているので、倒木や崩落の迂回路などの面で参考になります(感謝)*5



 小さな分岐で少し悩んだりするかもしれませんが、地形図を確認すれば、恐らく大丈夫。最終的には、林道怒田福野線の途中、北向地蔵尊の近くに出ます*6


 ここまで来れば、一安心。北向地蔵尊にお参りして、怒田福野線を久留里方面に出ます。余談ですが、途中の罠に鹿がかかっていました。

 久しぶりに人里(?)に降りてきたので、このあたりでランチを食べていきましょう*7久留里駅から国道410号を少し南下した上総松丘駅の近くにある村のピザ屋カンパーニャへ。サイクルラックがありました。大好物のクアトロフォルマッジ(ゴルゴンゾーラ)のMサイズをペロリ。大変美味しゅうございました。

 ちなみに、お店の近くで、林道蓮見沢線という道を発見。このときはスルーしましたが、帰宅後に調べたところ、未舗装のピストン林道ながら、途中に素掘り隧道があるようです。

 さて、午後は、3本の素掘り隧道がある君津市道大坂猪原線に向かいます。しかし、大坂側の入り口に「全面通行止」の看板。。。何となくの印象ですが、安全上の問題なのか、素掘り隧道のある道は(隧道がない道と同程度の道路状況であったとしても)通行止になりやすい気がします。

 うーん、残念。。。しかし、これまた何となくの印象ですが、千葉県のマイナールートは、主要道路に近い側だけが封鎖されていて、集落や山道からアクセスする裏側が開いていることもあります(地元の人が何らかの理由で通行しているのでしょう) ダメ元で反対側を確認してみましょうか? しかし、反対側から入れる保証はないですし、事前に調べた道ばかり通るのも面白くありません。そう思って、ここで地図を確認すると、大坂猪原線の南側に怪しげな道があるじゃないですか! しかも、地図を信じるならば、(結構遠回りですが)大坂猪原線の反対側につながっています(以下の地図で赤いピンが立っている道が大坂猪原線で、青いプラス記号のある道がこれから行く道です)*8

 国道410号から脇道に入り、小さい橋(第一岩後橋)を渡ると、民家に入りそうになりますが、その直前に左に入る道があります。最初の方は、未舗装としては、かなり綺麗な路面状況。地元の人が通るのか、踏み跡もあります。

 少し藪が深くなる場所もありますが、基本的には、右手の小川に沿って進めば大丈夫です。

 その先に少し大きめの泥濘がありましたが、気合いで突破。そこから先は、森の中に入ります。すると、旧道(あるいは古道)らしい雰囲気になります。倒木が少し気になりますが、これくらいは許容範囲内。

 地図に描かれている分岐を左に進んでいくと、左手に切り立った崖が現れます。写真で伝わるかどうか分かりませんが、なかなかの雰囲気。これを見て、「ここまで来てよかった」と思いました。

 ここから先は、左手の崖と右手の涸れ沢の間を進んでいきますが、だんだん道が荒れてきて、自転車を担いで進むのが困難になっていきます。(結論を先に書くと、この先に進んでも、何もいいことはありません/苦笑)


 正直、このあたりで「うーん、厳しいな。。。そろそろ潮時か」と思いました。しかし、「これくらいなら大丈夫」という正常性バイアスと、「いま来た道を戻るのもしんどい」という気持ちもあって、なかなか決心がつきませんでした(ダメなパターン) しかし、以下の写真の景色を見た瞬間に「ダメだこりゃ」と思いました。。。この地点は、前掲の地図画像の青いプラス記号のあたり。

 この少し手前から道らしき平場が消失し、倒木を跨ぎつつ涸れ沢を歩いている状態だったのですが、、、その涸れ沢が大量の倒木と土砂で埋め尽くされています。いったんその場に自転車を置いて、少し近づいてみましたが、完全にアウト。。。目の前の景色だけで撤退する理由になりますが、他にもネガティブな要因がありました。印刷してきた地形図を見ると、ここから先で一気に(崖の上と同じ高さまで)標高が上がるのですが、、、そんなことが可能なのか、仮にそういう道がかつて存在したとしても現存しているのか、という疑問が生じます。

 とりあえず、ここで撤退。帰宅後に今昔マップで確認したところ、この道は明治36年の時点には存在していた古道のようです。

 ただ、君津市の市道路線網図(上総地区1)を見ると、私が引き返した地点のすぐ先、一気に標高が上がる地点で道が切れています。つまり、かつて道があったにせよ、現在は(少なくとも行政上は)存在しないようです。

 帰りは、通るべき道が分かっているせいか、意外と早く脱出できました。結構疲れましたが、たまにこういう探検をするのも悪くないです。ただ、変な道で微妙に時間を使ってしまったので、これからどうしましょうかね?(安定のノープラン) 少し考えた結果、国道でサクッとアクセスできるという理由で、国道410号の旧道(廃道)区間を見に行くことにします。具体的には、君津市の最南端、鴨川市との境にある君鴨トンネルの旧道を目指します。正面にはゲートがありますが、複数の迂回方法があります*9

 旧道から現道のトンネルが見えます。

 私は、廃道を進むにつれて、どんどん道が自然に還っていく感じが好きです。


 そして、奥まで進むと、廃道界隈の超有名スポットである三島隧道があります。放置されたランドクルーザーとともに、何とも言えない美しい景色を形成しています*10



 ちなみに、トンネルの反対側は林道横尾線の入口で、先月訪れました。両側が開いていて、何やらハシゴのようなものまで用意されているという謎(私は、中に入っていません)

 また、ランドクルーザーの傍には、隧道の掘削作業で殉職された方々の慰霊碑があります。

 今回は君津市(の南側)しか回っていませんが、十分に満足しました。君津の裏道は、大体「魔界」ですからね(褒めています/笑) 帰りは、いつもの上総湊駅まで走って、そこから輪行しました。

 今回の走行距離は68.92km、獲得標高は1381mでした。なお、今回の旅にあたって、特に参考になったウェブサイトは、以下のとおりです。

(追記)私が引き返した道は「ゲゲゲルート」と呼ばれていると、パパゲーノさんが教えてくださいました。調べてみると、入口付近の分岐を右(私が進んだのは左)に行った先に廃屋があり、その家のポストが「ゲゲゲポスト」と呼ばれているようです

*1:以前、福島県輪行したときに同じパターンがありましたが、千葉県でICカードが使えないとは思っておらず、完全に油断していました。

*2:1箇所ではなく、何箇所かあります。

*3:基本的には、オートバイを入れないためのゲートなので、ハイカーや狩猟者が徒歩で通るのは容認されているという説があります。ただ、北側からこの先にアクセスする抜け道もあるようなので、いつか機会があれば、そちらからアクセスしてみます。

*4:地図によっては、途中に隧道の記号があるので、いつか走ってみます。

*5:「え、そこを通るの?」というルートにタイヤ跡が残っていたりして、「オートバイにも当然ガチ勢がいるんだなあ」と思いました(笑)

*6:このブログの記事にはしていませんが、過去に、大福山の福野集落から怒田福野線で久留里方面まで抜けた経験あり。

*7:夜まで走り続けるだけの補給食は持っていますが、美味しいものを食べられるのであれば、それに越したことはありません。

*8:この道の名称は不明ですが、君津市の市道認定路線に関する資料によると、「大坂岩後線」でしょうか?(要確認)

*9:迂回路があるとはいえ、一応は「通行止」区間なので、立ち入りは推奨できません。。。

*10:このランドクルーザーの扉は開きます。